大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪高等裁判所 昭和25年(う)2417号 判決 1950年12月01日

被告人

松本輝夫

主文

本件控訴を棄却する。

当審における未決勾留日数日中六十日を本刑に算入する。

理由

弁護人石川小市の控訴趣意第二点について。

所論の原審における証人岩下芳雄、同富田昭三の供述内容を原審第二回公判調書について調査するに、いずれもその一部に刑事訴訟法第三百二十条に所謂公判期日外における他の者の供述を内容とするもの、即ち伝聞証言の存すること所論のとおりである。しかして原判決は証拠として右各証人の供述を挙げているけれども、特に右伝聞証言の部分を掲けてこれを援用しているわけではないのであるから、判文いささか妥当を欠く嫌があるが、右証拠とすることを得ない部分を排除し、その余の部分を援用した趣旨であると解するを相当とする。従つて原判決には所論のように証拠とすることを得ない資料を証拠として援用した違法はない。又所謂伝聞証言は証拠とすることができないだけであつて、公判期日における証人の供述中に伝聞にかかる事項があつても、わが刑事訴訟法上裁判長はその陳述を制限しなければならないものではないから原審の証拠調を違法なりとする所論もまた理由がない。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例